金山農民画事業

Jinshan Peasant Painting

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中国のレトロ&ポップ

中国上海の農民たちが描いた小さな民間芸術「金山農民画」は、素朴なタッチと色使いの鮮やかさが、描かれている人物や動物を愛らしく引き立ててる非常にポップな絵です。
同時に見る者に郷愁を感じさせる土の香りがします。一枚一枚手で描かれるこの絵は文字通り今もたくさんの農民たちが農作業の合間に筆をとっています。
色とりどりの絵の中では、農民たちの楽しそうに農作業をする様子、子供達が遊んでいる姿、お正月の祝いの準備をする家庭の様子など、農村での日常の風景が季節感・生活感豊かに表現されています。
金山農民画は2007年には上海市政府より無形文化遺産として認定され、海外にも発信できる豊かな中国の文化の一つとしての役割も期待されています。

金山農民画

金山農民画

金山では1950~60年代に、農村で暮らす一部の農民が集まり絵画を創作する動きが見られました。
1970年代後半のこと、政府の文化部より金山の農村に派遣された美術指導員は、ある農家を訪れた際にその台所にあったかまどに目を留めました。
当時かまどの壁にはその家の奥さんたちが思い思いに自分の好きな絵を描いていました。
その素朴な絵の中に、農民たちが自然と身に付けている美的センスを感じ取った指導員は、他にも農民たちの生活の中に代々伝えられている刺繍・剪紙・織物・陶芸などといった生活に密着した芸術品にも感銘を受け、それらを一枚の絵という形態に結集することを思い立ちました。
そしてプロの画家さえも驚く斬新な美的センスを十分活かせるようにサポートしたのです。
それゆえに金山農民画は中国各地に多数存在する農民画の郷の中でも、大胆な構図と自由な発想で描かれ、明るく開放的なモダンアートに発展しました。
こうして古き良きオールディーズが新しい手法により蘇り、農民画が誕生したのです。
絵の持つレトロでありながらモダンな独特の印象はこの成り立ちから来ているのです。

作品紹介

お買い物かご  朱永金

お買い物かご  朱永金

里帰り  李芳

里帰り  李芳

端午節  陶林平

端午節  陶林平

花と鶏  阮四娣

花と鶏  阮四娣

春がやってくる 曹秀文

盛璞  盛秋の豊漁

かごの中の猫 朱素珍

かごの中の猫 朱素珍

桃花島  曹秀文

桃花島  曹秀文

生け簀 曹金英

生け簀 曹金英

蓮に戯れる魚 陸学英

蓮に戯れる魚 陸学英

投網 張美玲

投網 張美玲

旬の野菜 王金喜

旬の野菜 王金喜

旬の野菜 王金喜

吉報 王阿妮

花傘  懐明富

花傘  懐明富

果物の里  朱永金

果物の里  朱永金

古鎮遊覧  盛璞

古鎮遊覧  盛璞

春雨を干す 李芳

春雨を干す 李芳

花見月 懐明富

花見月 懐明富

花刺繍の女 張婉英

花刺繍の女 張婉英

小舟でひと休み  陳娟紅

小舟でひと休み  陳娟紅

向かい風  懐明富

向かい風  懐明富

水を運ぶ新婦 龔彩娟

水を運ぶ新婦 龔彩娟

薬草を採る娘 曹秀文

薬草を採る娘 曹秀文

タナゴの王様  陸学英

タナゴの王様  陸学英

雪蓮花図  姚喜平

雪蓮花図  姚喜平

金山農民画の歴史

金山農民画「金山」は、江蘇省、浙江省、上海の三地域にまたがり、長い歴史と文化を持つところです。春秋戦国時代におけるこの一帯は呉と越が交錯する場所であったため、「呉根越角」とも呼ばれてきました。そのような土地で育まれた芸術文化の至宝が「金山農民画」です。
金山農民画は重要な江南文化の一つでもあります。1950年から1960年にかけて、金山では一部庶民の間で絵画を創作する活発な動きが見られました。70年代には、当地の文化館館長を務める呉彤章氏が十数名の農業に携わる女性達に絵画を教え、伝統の大衆文化芸術をベースに、江南風情に富んだ金山農民画を一枚一枚創作しました。
1977年、金山農民画が初めて上海美術館の特別展覧会で展示され、1980年4月、中国美術館でも展覧会が行われると、それを機に金山農民画は脚光を浴び、中国美術界に欠かせない一部となったのです。その勢いは国内にとどまることなく、同年9月、ベルギーのブリュッセル国際博覧会にも参加し、中国最高の大衆芸術と称えられました。その後、金山農民画は頻繁に海外で展示されるようになり、アジアのピカソが手掛ける名作とまで高く評価され、ヨーロッパをはじめ、アメリカ、アジア、オセアニア、その他33の国と地域に進出し、展覧会を開催し、国際交流を深めてきました。
1998年、金山農民画の影響を受け、金山県(区)が文化庁に「現代大衆絵画の里」、2011年と2014年「中国大衆文化芸術の里」と名付けられました。また、2006年中国大衆文芸家協会に「中国農民画の里」、「中国農民画研究センター」の称号が与えられました。
2007年、金山農民画技法は他の候補と一緒に最初の上海市無形文化遺産保護リストに入りました。現在、金山区人民政府に「金山農民画画家」と承認された画家は28名、「上海市・無形文化遺産伝承人」と認定された画家は6名、「金山区・無形文化遺産伝承人」とされた画家は18名います。2014年に出版された「中国農民画考察」が大衆文芸最高賞「山花賞」を獲得しました。金山農民画は各分野に取り入れられ、文化クリエイティブ産業の発展を推進する役割を果たし、いまや上海社会主義新農村建設の文化的成果のシンボルになっています。

金山農民画院

上海市金山農民画院は1989年に独立機関として設立されました。
金山農民画の研究、文献整理教育と訓練、収蔵と展示、協力と支援および広報の機能を一体化した公益文化事業機関です。
金山農民画院は展示ホール、史料室、創作指導室と無形文化遺産伝習室をもち、2006年に中国大衆文芸家協会の中国農民画芸術研究センターを増設しました。
1988年には金山区が文化部から「中国現代大衆絵画の里」、「中国大衆文化芸術の里」と名付けられ、2006年に中国大衆文芸家協会に「中国農民画の里」の称号が与えられました。今後も、金山農民画院は優秀な伝統文化の伝承と農民画の発展の基礎を築くため、民間美術の伝承、農民画創作の拡大、文化交流の展開産業発展の促進に力を尽すことが期待されています。

金山農民画村

上海市内から車で約1時間、農民画村は上海市金山区楓桱古鎮から4キロ北上したところにある2006年にオープンした農民画家のアトリエ村です。
金山区は上海市の西部にあり、楓桱はそのなかでも西の端にあります。
楓桱は、昔の「呉」と「越」の国の国境にあるとても歴史のある街(古鎮)です。
村内の建物は瓦屋根に白壁というこの地方の伝統的な作りを継承していますが、その白壁を彩るのは他地域にはない色鮮やかな絵画です。
施設内には資料館があり農民画の歴史や変遷を知ることができ、各家では作品だけでなく、作業中の画家の姿を見ることもできます。

金山農民画

上海市無形文化遺産伝承人

呉彤章

呉彤章

金山農民画の開拓者、上海市史文研究館員、国務院特別専門家。1974年から金山農民画の創作を指導し、伝統の刺繍、切り絵、泥人形、磚刻、漆絵などの芸術技法を農村生活題材の絵に取り入れた。
斬新な現代大衆絵画の画風を確立し、指導方法も大きな成功を収め、全国で三回目の農民画ブームを作り出した。
彼の熱意ある指導教育のおかげで、金山農民画は独特な作風と鮮明な特徴を持ち、金山から上海そして世界へ飛躍することで、世界的な名声を獲得し、中国現代大衆絵画の事業に多大なる貢献をした。
「全国農村文化芸術の先進労働者」、「上海市労働模範」、「中国大衆芸術工作開拓者」の称号を獲得した。

懷明富

懷明富

元金山農民画院院長、金山農民画画師、CCTV-7(中国中央テレビ)「農民書画家十人」に選出。
若い頃、灶壁画の匠に指導を受け、その後呉彤章先生に師事する。
作品は鮮明な灶壁画の特徴を持ち、絵が鮮やかで色調が荘厳である。代表作は「花傘」、「頂風」、「揚花三月」などがある。
長さが18メートルの作品「暢享金週末」と長さが36メートルの作品「千年朱涇画巻」など農民画の絵巻を創作した。
作品は全国及び市の大賞を複数回受賞し、イギリス、アメリカなど美術館にも収蔵された。

陸永忠

陸永忠

金山農民画画師、民主建国会中央画院画師。幼い頃両親の影響を受け、金山当地の大衆文化芸術が非常に好きになる。
1989年から金山農民画を創作し始める。
21歳頃の作品「森林里的蘑菇」は上海第六回江南の春画展で二等奨を受賞。
25歳頃作品が日本に渡り、海外で展示交流。
近年では、国内外で複数回個展を開催し、金山農民画の影響力を広める。
2002年に文化部「優秀画家」の称号が授与される。2004年に金山農民画荘と金山農民画郷村美術館を創設した。
2006年に共青団中央「全国郷村文化名人十人」に選出された。
2014年に面積5000平米の中国最大な稲田芸術画「巨龍舞夢」を創作し、2018年に呂巷鎮で「中国壁画村」プロジェクトを完遂した。

張 斌

張 斌

金山農民画院副研究館員、1988年から金山農民画院で創作指導師範に就任。
作品は全国美術大展に連続入選し、全国「群星奨」を二回受賞。
作品「月如勾」、「流星雨」、「搏浪」、「套金猪」は全国及び市の大賞を複数回受賞。
作品は上海美術協会、重慶美術館、アメリカのマサチューセッツ州博物館などに収蔵された。
創作過程において漆絵と農民画を融合させ、農民画の新たな表現技法を創り出した。
漆絵の農民画作品「白蛇傳」は青年美術大展三等賞を受賞。
金山農民画を中小学校および大学の教育現場に持ち込んだ。
現代大衆美術優秀指導員、優秀絵画展プロデューサーの称号を複数回獲得した。

阮章雲

阮章雲

金山農民画院副研究館員、文化部「群星奨」銀賞受賞者、第一回「金山区リーダー人材候補者」。
長期にわたって金山農民画創作指導と農民画家の養成訓練に携わり、数百人の農民画家を養成した。
2006年から『中国農民画考察』の副主編を務め、この書籍は2015年中国大衆文芸最高賞の「山花奨」を獲得した。執筆した研究論文も国レベルのフォーラムで複数回受賞。作品「花鮮猪更肥」、「放鹿」、「福富」、「徽州尋夢」は全国及び市の美術展で受賞し、欧米多国に展示された。作品は中国美術館、中国国家画院、元米国国務長官キッシンジャーご夫妻に収蔵された。

曹秀文

曹秀文

金山農民画画師、2010年に「全国優秀農民画家十人」、2017年に「上海の匠」に選出された。
代表作の「採薬姑娘」は当地産出の漢方薬の薬草の花、枝葉を背景に、民間漆絵の技法も取り入れ、黒のバックグラウンドに色彩鮮やかな人物、薬草採る少女の一人が生き生きとして描かれている。
作品「過年」は上海「江南の春」一等奨、「嫁女」は上海「江南の春」二等奨を受賞。
2010年に作品「漁家楽」、「春意」は上海万博テーマ館展示作品に入選した。